どうも!就活塾「内定ラボ」の岡島です!
企業には事業計画というものがあるのをご存知かと思います。事業計画には1年先を見据えた短期的なものから、3年から5年後を見据えた中期的なもの、さらには10年以上先を見据えた長期的なものの3パターンがありますね。
この事業計画に基づき人事戦略も行われます。つまり新卒採用人数もこの計画の中に盛り込まれているのです。
そのため、あなたが「この職種・部署に絶対に入りたい!」と希望を出したとしても計画数に対して、すでに上限が決まっているということになります。新卒採用の多くは「総合職採用」という形を取る為、希望の部署があったとしてもその部署への配属確約という高待遇内定というのは、かなりハードルが高いものになります。
とは言え「希望部署に行く努力は最大限したい」というあなたに向けて、新卒採用における配属先決定に関わる疑問への回答を交えながら、そのヒントをまとめていきたいと思います。
【疑問1】入社後の配属人数は、選考試験前に決まっているのか?
新卒採用には職種ごとに募集人数または採用予定人数という項目があり、具体的な人数が書いてあります。なかには「若干名」などと記載してある企業もありますが、基本的には中長期的な事業計画に基づき採用人数を決めているのは前述の通りです。
つまり配属先の人数は選考試験の段階で決まっているのです。学生の皆さんは自分をアピールして希望の部署に入りたいと思っている方も多いと思いますが、その部署に新卒の配属予定がないかもしれません。配属先は人事や幹部しか知らない場合がほとんどで、OB・OG訪問や先輩社員に聞いてもわからない事がほとんどなのです。
ではどのように確認したらよいのかと思う方も多いと思いますが、「人事に聞く」しかないのです。
ただ、「聞く」というよりは、「希望部署を伝える」という意識を持つようにしましょう。その際にはなぜその部署を志望しているのか、その部署でどんな仕事をしたいのかも添えて伝えるのがポイントです。そうすることで人事は、この学生は入社後のこともしっかり考えているんだと捉えてくれるでしょう。
何故、配属人数が明確に決まっているのに学生に開示しないのか
採用予定人数は公表する企業が多いですが、やはりざっくりしていますし(例えば50名程度とか)、今回テーマにしている配属別の人数を開示している企業は少数派ということに気付くと思います。
その理由をしっかりと押えておくとよいでしょう。
それは「計画変更がよくあるから」です。
企業の長期目標がすぐに変更されるということは考えづらいですが、短期目標はその企業の直近の業績や経営状況、もう少し踏み込めば中途採用の進捗具合や離職率の視点などを考慮して、定期的に「本当に新卒としてこの人数が必要なのか」ということを見直し、進めて行くことが大半です。
あなたも「大きな買い物」をするときは慎重になりませんか?本当に買うべきか…もう一度考えてみよう…とか、本当にローンを組んで無理なく支払いできるのだろうか…など考えますよね。
企業もそれに近い形で、「新卒を定年まで雇い続けると約2億円」といった高額な買い物になることもあり、離職率の低い企業ほどその慎重さは高くなることは、容易に想像できるでしょう。
ですので採用の人数よりも、直前の状況を見て判断したい「配属先」決定はなるべく曖昧にしておきたいというのが企業側の本音としてあります。
極端に言えば…あなたの希望部署は今年は採用なし…ということがよくあるからということです。
配属希望を推し過ぎるリスクを考慮することを忘れずに…
だからこそ、「配属希望」を面接などで伝えるときは、注意が必要です。
絶対に自分が希望する部署が採用がある部署(営業部門など)であれば、前述のように希望をしっかりと人事に伝え続けることが、希望部署配属の道だと思います。ですが「広報・人事・経営企画・法務・知財」などといった専門職+少数精鋭で運営している部署・部門は、当然ですが「毎年新卒を定期的に採用する」ということが現実的ではありません。
「いい人がいれば採用する」と思っている企業ならまだ良いですが、今年の事業計画から考えて全く採用を考えていないのに「多くの学生に来てほしいからとりあえず募集かけておくか」「募集要項を変更するのが面倒なのでとりあえずそのままでいいか」といった企業も多いのが実情です。
また本当は資格だったり英語力などで足キリラインを設けられており、「最初から可能性ゼロ」という職種に希望を出してしまう学生も少なくないです。
現時点での選考を希望する企業の配属部署の人数を聞けば、ある程度判断がつく(希望部署に20代の人がいなければ新卒配属はほぼ可能性がゼロということわかるでしょうし、希望部署に5年ぶりに新卒が入ったという話が聞ければあと数年はなさそうだな…などある程度傾向が掴める)と思いますので、希望部署の人員構成は、しっかりと聞くことを意識するとよいでしょう。
そうした事前情報なしに「自分の素直な希望だけで面接に臨む」ことは、かなりリスクが高いです。是非、配属先の現実性を確認する視点、忘れないようにしてください。
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【疑問2】配属先はどう決まるのか?誰が決定しているのか?
これはケースバイケースですが、内定を獲得した時点や内定式の段階である程度決まっている場合がほとんどです。面接や適性検査の結果をもとに配属先にマッチした人に内定を出しているのです。
だったら、内定時に配属先を教えてほしい!と思う方も多いと思いますが、これは企業の事情であえて伝えていないのです。先程お伝えした計画に変更がよくあるからですね。
内定から入社まで半年以上ありますから、入社するまでに退職する社員もいるでしょうし、産休に入る社員もいるかもしれません。また内定者の中から辞退する学生も出てきます。皆さんが内定を獲得した時の状況と、入社する時の状況が同じとは限りません。
あくまでも入社のタイミングで一番良いと思われる人員配置をするために企業は配属先を事前には伝えないのです。
例えば営業部に3名、人事部に2名の配属を予定しているとします。営業部にはA君・B君・Cさんを、人事部にDさん・Eさんを配属予定と内定式後に決めたとします。
その後、皆さんが入社するまでの間に営業部で1名退職が出てしまったら人事部の配属予定のDさんを営業に回して人事部はEさん1名にするなど人事と幹部で決定します。その際に営業適性があるかを適性検査や面接での結果をもとにして決めているのです。
配属決定の影響度は「人事<現場責任者」
就活生の感覚だと、「人事」が配属決定をしているイメージが強いかもしませんが、どちらかというと人事は配属に関しては、「学生の意向と自分が感じた適性を現場の人に伝え、客観的な立場で情報を提供する存在」に徹することが多いです。
どういうことかと言うと…
人事から「●●君は法務に向いている!」と法務として採用した際、万が一活躍しなかった際の責任まで負いきれないこと、また逆もしかりで…現場責任者から「●●君がうちは欲しい!」と言った要望を断ってまで配属した学生が活躍しなかった際のリスクまでは、やはり負えないのです。
ですので、希望部署の配属を勝ち取るには、「如何に自分が希望する部署の責任者に接点を持ってPR出来るか」が重要ということが分かると思います。
でも…どうしたらいいの?現場の責任者との接点の作り方
チャンスはいくつかあります。
まず一つが「面接」です。面接のどこかの場面で「あなたの採用を考えている部署の責任者」が面接に出てくる可能性が高いです。そこでの印象の最大化を狙っていくことが一つ。
その次がに内定後に、懇親会や内定者向けのイベントが良く開かれます。そこで現場責任者を紹介してもらい、個人的に想いを伝え続けていくということです。
あとは責任者と接点を持つのがどうしても難しいケースもあると思います。その際は、その部署の先輩社員さんとの関係性を作り、その先輩から責任者の方にPRしてもらえるようにお願いする…といった方法もあります。
そこまで…やらなくても…と思うかもしれませんが、配属部署によって仕事内容の違いだけでなく、働きやすさや部署の雰囲気も違ってきます。ですので、是非希望部署にこだわりたい方は、こうした地道な売り込みを続けていくとよいでしょう。
とは言え、100%希望の職種で希望部署で働きたいあなたは…
総合職という採用において、やはり100%というのは難しいです。
ですので、職種や部署に対して「明確な意思」がある方は、少数ではありますが「部署限定採用」の可能性を追いかけるべきだと思います。
外資系企業等を中心とした部署別採用を行っている企業を検討するということです。
そういった企業にも目を向けて就活を進めて行きましょう。内定を取った後に「本当にこの会社でいいのだろうか…」と悩んでしまう学生の一つの理由に、この配属がわからない…という要素があります。
仕事内容にこだわりたい、その道で勝負したい…ということであれば、大手のネームバリューよりも、希望の部署で経験を積むことで、将来的に転職という形でキャリアアップするという道もあります。
ですので配属先の希望が強い学生は、「総合職採用の企業」と「部署限定採用の企業」の併願をして両社とも内定を取りに行く…といった選択はありでしょう。そして内定獲得後に客観的な視点でどちらが自分のキャリアを構築するのに、良い選択になるのかを考え抜いて、最終的に納得度の高い選択ができるのが最良かと思います。
まとめ
・新卒の採用予定は、企業の事業計画ありきであること
・計画には変更がつきものであるため、学生への開示はまず期待できない
・配属を希望する部署に関する情報収集は綿密に
・配属の決定において現場の力が最も強いこと
・こだわりたい学生は、職種別採用や部門別採用を検討する
憧れの企業に入社することも大切ですが、私は「入社後に活躍できるポジションで仕事ができるか」という視点も重要だと思っています。企業ブランドだけではなく、長期的に自分の興味や関心を持ち続けられる仕事に就けるかどうかという視点を持ち就活に臨む学生が、一人でも増えてくれることを願っています。